まだ知らぬ、日本を訪ねて

趣味の日本庭園や近代建築の紹介ブログです。

01_日本庭園-01_地方-03_関東地方

<庭園紹介>新勝寺 仁王池【歴史編】

國郷(1858)『成田山入佛供養生写之圖』(国立国会図書館蔵) 成田山の仁王池、その起源を探る 成田山の仁王池について、新勝寺が昭和43年(1968)に編纂した『新修成田山史』では「不詳」としています*1。 今回は様々な文献及び絵図から仁王池の成立時期を…

<庭園紹介>新勝寺 仁王池【訪問編】

新勝寺 仁王池 撮影:2023.07.16 庭園情報 名称:新勝寺 仁王池 年代:不明 千葉県成田市にある成田山新勝寺。古来からの霊場であり、今でも多くの参拝客が訪れます。その中で、立派な仁王門のすぐ後ろには、規模は小さいながらも、周囲の石組と石碑と相まっ…

横網町公園【震災編】

はじめに この記事を、100年前、我が国の有史史上最悪とも呼ばれる自然災害に直面した、全ての人々に捧げます。 前回の記事は横網町公園の歴史について紹介していきました。ここからは、横網町公園の整備方針に深い関係がある関東大震災に焦点を当てたいと思…

横網町公園【歴史編】

元々は倉庫の敷地だった横網町公園 横網町公園 撮影:2023.08.23 現在、震災と戦災の犠牲者の慰霊を目的として整備された横網町公園。近世においては徳川将軍家の材木蔵、米蔵の敷地として活用され、近代からは帝国陸軍の被服本廠があった場所でした*1。今回…

横網町公園【訪問編④】〜日本庭園〜

横網町公園 日本庭園 撮影:2023.08.23 庭園情報 名称:横網町公園 日本庭園 完成:昭和6年(1931)*1 設計:平山勝蔵*2 悲劇の地に造られた、慰霊と教訓を伝える庭園 関東大震災と東京大空襲の犠牲者を慰霊する横網町公園の一画に、日本庭園が造られていま…

羊山公園 牧水の滝【訪問編】

羊山公園 牧水の滝 撮影:2023.05.02 庭園情報 名称:羊山公園 牧水の滝 秩父市・羊山公園の麓に造られた庭園 埼玉県秩父市、西武秩父駅から羊山公園に向かう道中に、歌人・若山牧水氏を偲んだ庭園が造られています。日本庭園、とは言えないかもしれませんが…

目白庭園【訪問編】

目白庭園 撮影:2023.04.22 庭園情報 名称:目白庭園 完成:平成2年(1990) 作庭:伊藤邦衛 閑静な住宅街に造られた静かな庭園 東京都豊島区の目白庭園。目白駅から徒歩5分程度の場所にあるこの庭園は、平成2年(1990年)に造られた比較的新しい庭園です。…

所沢航空記念公園 日本庭園【訪問編】

所沢航空記念公園 日本庭園 撮影:2023.02.12 庭園情報 名称:所沢航空記念公園 日本庭園 完成:平成11年(1999) 設計:(彩翔亭)青島利浩、西川生哉、渋谷卓夫、藤浦晃、森下由里 他*1 埼玉県所沢市の所沢航空記念公園。戦前は、帝国陸軍の所沢陸軍飛行場…

日光田母沢御用邸記念公園【訪問編】

日光田母沢御用邸記念公園 撮影:2022.08.13 建築・庭園情報 名称:日光田母沢御用邸記念公園 旧称:日光田母沢御用邸 完成:明治32年(1899) 設計 建築:木子清敬・木子幸三郎 庭園:小平義近 保護:国指定重要文化財 旧日光田母澤御用邸 大正天皇、昭和天…

英国大使館別荘記念公園【訪問編】

英国大使館別荘記念公園 撮影:2022.08.12 建築・庭園情報 名称:英国大使館別荘記念公園 旧称:英国大使館別荘*1 旧称:アーネスト・サトウ卿別荘*2 設計:不明(地元の大工*3、またはジョサイア・コンドル(Josiah Conder)*4) 作庭:伊藤小右衛門*5*6 施主…

旧渋沢庭園【訪問編】

「旧渋沢庭園 青淵文庫」 撮影:2021.12.31 庭園情報 名称:旧渋沢庭園 旧称:渋沢子爵家飛鳥山邸「曖依村荘」 作庭:渋沢栄一、佐々木可村 完成:明治34年(1901) 住所:東京都北区西ケ原2丁目16-1 日本資本主義の父が造営した庭園 明治時代に日本の資本主…

御殿山庭園【訪問編】

「御殿山庭園」 撮影:2021.10.30 庭園情報 名称:御殿山庭園 旧称:原家邸 作庭:原六郎など 完成:明治時代 住所:東京都品川区北品川4丁目7 高低差を活かした都会の中の庭園 東京・品川駅から徒歩10分あまり。御殿山トラストシティの一角にあるのが、御殿…

ホテル椿山荘東京 庭園【訪問編】

「ホテル椿山荘東京 庭園」 撮影:2019.03.31 庭園情報 名称:ホテル椿山荘東京 庭園 旧称:山縣公爵家本邸「椿山荘」 旧称:藤田男爵家東京別邸 作庭:山縣有朋、岩本勝五郎、藤田平太郎 完成:明治11年(1878)頃 住所:東京都文京区関口2丁目10-8 明治東…

六義園【訪問編】

「六義園」 撮影:2017.05.05 庭園情報 名称:六義園 旧称:武蔵川越領(後、甲斐甲府、大和郡山)柳沢家下屋敷「六義園」 旧称:岩崎家駒込別邸 作庭:柳沢吉保 完成:元禄十五年(1702) 住所:東京都文京区本駒込6-16-3 備考:国指定特別名勝 江戸に残る…

旧安田庭園【探訪編】

名園五十種 以前、肥後細川庭園でも取り上げました『名園五十種』に、安田本邸の庭園が紹介されています。 大川端の安田邸は舊と備前候池田家の邸趾でその庭園の幽邃淸雅なるは夙に東都好庭家の稱讚嘖々たる所の一箇の名勝である、 近藤正一(1910)『名園五…

小石川後楽園【訪問編】

「小石川後楽園 渡月橋と大堰川 通天橋からの眺望」 撮影:2017.05.04 庭園情報 名称:小石川後楽園 旧称:水戸徳川家上屋敷「後楽園」 旧称:大日本帝国陸軍 東京砲兵工廠 作庭:徳川家光、徳川頼房、徳大寺左兵衛、徳川光圀、朱舜水 完成:【一部完成】寛…

有栖川宮記念公園【訪問編】

「有栖川宮記念公園」 撮影:2018.11.25 庭園情報 名称:有栖川宮記念公園 旧称:盛岡南部家下屋敷 旧称:有栖川宮御用地 旧称:高松宮御用地 住所:東京都港区南麻布5丁目7-29 元は有栖川宮御用地 「有栖川宮記念公園 有栖川宮熾仁親王殿下騎馬像」 撮影:2…

須藤公園【訪問編】

「須藤公園」 撮影:2018.11.23 庭園情報 名称:須藤公園 旧称:加賀大聖寺領前田家下屋敷 旧称:品川子爵家邸 旧称:須藤家邸 住所:東京都文京区千駄木3丁目4 閑静な住宅街にある「庭園」 「須藤公園」 撮影:2018.11.23 東京メトロ・千駄木駅から程近い場…

旧安田庭園【震災編】

関東大震災と日本庭園 今まで旧安田庭園の歴史について紹介していきました。ここで、一般公開直前に発生した関東大震災での歴史を振り返ります。 関東大震災では、樹木と池泉がある日本庭園で多くの人々を火災から救うことができました。旧芝離宮庭園や深川…

旧安田庭園【人物編】

安田翁と後藤市長 「安田善次郎と後藤新平」(国立国会図書館「近代日本人の肖像」より引用・編集) 旧安田庭園が一般公開されるようになったのは、銀行王にして安田財閥創始者である安田善次郎氏の「陰徳を積む」志と、稀代の政策家・後藤新平伯爵の強固な…

旧安田庭園【歴史編②】

文献でみる維新後の歴史 当ブログ「旧安田庭園 【歴史編①】」以後の歴史もみていきます。 【歴史編①】でも紹介した亀田氏の論文には、次のような記載があります。 明治になって旧備前岡山藩主池田章政邸となり、明治24年(1891)7月安田財閥の創始者安田善次…

旧安田庭園【歴史編①】

文献から見る屋敷地の由来 旧安田庭園は他の例に漏れず、元は大名家の屋敷地でした。 庭園の入り口にあるパネルには次のように記載されています。 沿革 この地は元禄四年(一六九一)、後の常陸笠間藩五万石の藩主、本庄因幡守宗資が下屋敷として拝領し、こ…

旧安田庭園【訪問編】

「旧安田庭園」 撮影:2016.04.20 庭園情報 名称:旧安田庭園 旧称:(常陸笠間領、丹後宮津領など)本庄松平家下屋敷 旧称:池田侯爵家邸 旧称:安田家本邸 作庭:本庄因幡守宗資、安田善次郎など 完成:江戸時代中期、明治時代 住所:東京都墨田区横網1-12…

旧古河庭園【訪問編】

「旧古河庭園」 撮影:2020.01.03 「旧古河庭園 旧古河邸」 撮影:2020.01.03 建築・庭園情報 共通情報 名称:旧古河庭園 旧称:古河虎之助邸 備考:国指定名勝「旧古河氏庭園」 建築情報 用途:邸宅・迎賓施設 設計:ジョサイア・コンドル(Josiah Conder) …

肥後細川庭園【探訪編】

名園五十種 明治43年(1910)に出版された『名園五十種』に細川侯爵邸の庭園が紹介されています。前半に洋館・和館の庭園(関東大震災で焼失)、後半に現在の肥後細川庭園と思われる庭園が記述されています。文章のみの紹介のため、場所の推測を行いながら巡…

肥後細川庭園【歴史編③】

敗戦後の資産売却 第二次世界大戦の敗戦は、華族たちにとっても厳しい立場に追い詰めました。特に最高税率が資産額の90%という財産税は華族たちの没落を決定づけるものでした。細川侯爵家も、次々と資産の売却を進めていきます。

肥後細川庭園【歴史編②】

維新後の地図で見る変遷 当ブログ「肥後細川庭園 【歴史編①】」では江戸時代までの歴史を確認しました。今回はその後の歴史について確認します。

肥後細川庭園【人物編】

鳳台院夫人 「肥後細川庭園の桜」 撮影:2019.03.31 肥後細川庭園のキーパーソン、鳳台院夫人については、残念ながらあまり史料が残っていません。限られた史料から、その人柄を見ていきます。

肥後細川庭園【歴史編①】

詳細な歴史は不明のまま 平成26年(2014)より始まった一連の整備工事が完了した現在でも、この庭園の詳細な歴史は不明です。現地の解説板には当地の歴史をこのように述べています。 大名の下屋敷から細川家へ この地は、江戸中期以来旗本の邸宅となりました…

肥後細川庭園【訪問編】

「肥後細川庭園」 撮影:2016.04.27 庭園情報 名称:肥後細川庭園 旧称:肥後細川家下屋敷・抱屋敷、細川侯爵家本邸、新江戸川公園 住所:東京都文京区目白台1-1-22 作庭:不明 完成:不明(江戸時代後期・幕末期か?) 文京区の知られざる庭園 平成29年(20…