建築・庭園情報
共通情報
- 名称:旧古河庭園
- 旧称:古河虎之助邸
- 備考:国指定名勝「旧古河氏庭園」
建築情報
- 用途:邸宅・迎賓施設
- 設計:ジョサイア・コンドル(Josiah Conder)
- 竣工:大正6年(1917)
庭園情報(洋風庭園)
- 作庭:ジョサイア・コンドル(Josiah Conder)
- 完成:大正6年(1917)
庭園情報(日本庭園)
- 作庭:七代目小川治兵衛
- 完成:大正8年(1919)
和洋の調和を意識した作品
JR京浜東北線・上中里駅および東京メトロ・西ヶ原駅より徒歩7分。都立文化財庭園の一つである旧古河庭園にその日本庭園はあります。洋館やバラ園で有名ですが、日本庭園も非常に優れた庭園です。洋館と洋風庭園はジョサイア・コンドル博士、日本庭園は七代目小川治兵衛の作品。共に和洋の調和を意識した作品です。コンドル博士にとっては晩年の代表作であり、小川氏にとっては東京都内の代表作となります。
意外と知られていない日本庭園
前述の通り、洋館とバラ園があまりにも有名で日本庭園は意外と知られていない存在です。しかし、七代目小川治兵衛の名に恥じぬ非常に魅力的な庭園に仕上がっています。
黒ボク石積
洋風庭園と日本庭園の境界部分に用いられているのが、黒ボク石積です。富士山の溶岩を用いており、洋風庭園の整形美から日本庭園の自然美への劇的な転換を果たしています。この石積の上には楓が植えられており、秋には紅葉越しに洋館を眺めることができます。
大滝
小川氏が特に力を入れた箇所と言われます。滝は三段落ちとなっており、理想的な滝の音を実現するためのこだわりを感じることができます。
崩石積
京都で発達した石積の技法。いかにも崩れそうな石積ですが、後の関東大震災や東日本大震災でも崩れなかった石積です。
州浜
五郎太石を敷き詰めた州浜。浜辺を表現しています。ここに設置された大型の雪見灯篭は、池の周りのどの箇所からも存在感を示せるように大型となっています。
枯滝
洲浜と連続して枯滝が作られています。東京都内でも有数の枯山水による枯滝に仕上がっています。実際に水が流れている大滝の対岸に作られており、滝の音を聞きながら枯滝を鑑賞することができるようになっています。
渓谷
小川氏が特に力を入れた箇所の一つです。後述のように、小川氏が得意とする借景が望めない中、もう一つ得意とする「流れ」を意識した作りとなっています。
借景
小川治兵衛の特長の一つに借景が挙げられます。しかし、この旧古河庭園では、得意とする借景が見られません。低地部という立地上、良い借景があまり望めなかったと推定されます。その代わり、日本庭園の外縁部に葉を多く付ける椎木を植えることで、奥に森が広がっているように見せたり、古河邸の洋館を借景に用いようとするように工夫されています。
平成18年(2006)に大正初期の庭園の原形を留めることから、国の名勝に指定されました。和と洋の調和を目指した邸宅と庭園は、いまなお人々に美しい姿を見せ続けています。