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<庭園紹介>新勝寺 仁王池【訪問編】

新勝寺 仁王池  撮影:2023.07.16

庭園情報

  • 名称:新勝寺 仁王池
  • 年代:不明

 千葉県成田市にある成田山新勝寺。古来からの霊場であり、今でも多くの参拝客が訪れます。その中で、立派な仁王門のすぐ後ろには、規模は小さいながらも、周囲の石組と石碑と相まって独特の雰囲気を醸し出している仁王池があります。近世から近代にかけての人々の篤い信仰を実感できる場所です。

仁王池の様子

 仁王池は、生類の不殺生を説く放生池の役割を持つ池です。

仁王池

新勝寺 仁王池  撮影:2023.07.16

 仁王池は、瓢型の形をした池となっています。その起源は不明ですが、江戸時代から仁王門に橋が寄進された記録があることから、江戸時代には元となる池があったと考えられます。また、この池には数多くの亀が棲息しています。放生池の精神に則り、信者が亀を放した名残です。

亀島

新勝寺 仁王池 亀島  撮影:2023.07.16

 亀島は、仁王池の右方にある亀の形をした中島です。いかにも古そうな雰囲気を持つ石で構成されています。

石組と石碑

新勝寺 仁王池 石組と石碑  撮影:2023.07.16

 仁王池の後背は崖となっており、そこには険しい石が屹立し、その中に混じって多くの石碑か建てられています。石碑の碑文から近世および近代に寄進されたものが多そうです。江戸・東京の人々からの信仰の篤さがうかがい知れます。

 仁王門の裏手、本堂へ至る参道に造られている仁王池。特に説明板も無いため素通りしそうですが、近世から近代にかけて造られたであろう独特の雰囲気の空間となっています。少し立ち止まって、昔の人々の信仰心に思いを馳せるのも良いなと感じました。