まだ知らぬ、日本を訪ねて

趣味の日本庭園や近代建築の紹介ブログです。

所沢航空記念公園 日本庭園【訪問編】

所沢航空記念公園 日本庭園  撮影:2023.02.12

庭園情報

  • 名称:所沢航空記念公園 日本庭園
  • 完成:平成11年(1999)
  • 設計:(彩翔亭)青島利浩、西川生哉、渋谷卓夫、藤浦晃、森下由里 他*1

 埼玉県所沢市所沢航空記念公園。戦前は、帝国陸軍の所沢陸軍飛行場、敗戦後は在日米軍基地だった敷地の一部が返還され、所沢航空記念公園として昭和53年(1978)に開園しました。その一角に日本庭園が造園されたのが平成11年(1999)。比較的新しい庭園ですが、適度な大きさで気持ちの良い日本庭園です。

 訪問当日の様子は下記ページでも掲載していますので、よろしければご参照ください。

zuito.hatenablog.com

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庭園の様子

 所沢航空記念公園の日本庭園は、典型的な池泉回遊式庭園として造られた庭園です。

筧蹲

 茶室・彩翔亭の入口の近くにある筧と蹲。蹲は立方体のような近代的なデザインをしています。

所沢航空記念公園 日本庭園 筧蹲  撮影:2022.12.18

所沢航空記念公園 日本庭園 筧蹲  撮影:2023.02.12
流れ

 茶室・彩翔亭と池の間にはある流れ。護岸の石組を見てもわかる通り、それなりに深く造られています。

所沢航空記念公園 日本庭園 流れ  撮影:2023.02.12

所沢航空記念公園 日本庭園 流れ  撮影:2022.12.18

 日本庭園の中心をなす池。訪問時は12月と2月で、既に落葉していましたが、それでも色彩豊かな景観を作り出しています。

所沢航空記念公園 日本庭園 池  撮影:2022.12.18
四阿

 四阿は池の西端に造られています。六角堂のような構造をしており、内部には腰が掛けられるようベンチが用意されています。ここからの眺望は、この庭園のハイライトともいえる景観です。

所沢航空記念公園 日本庭園 四阿  撮影:2022.12.18
せせらぎ

 築山の西側から池につながる流れ。日本庭園計画平面図には「せせらぎ」として記載されています*2。築山からゆるやかな勾配を下り、小さな滝を経ながら池に注ぎ込むような構造となっています。訪問当日は水量が少なく、あまり流れていなかったのですが、普段はどんな感じか見てみたいものです。

所沢航空記念公園 日本庭園 せせらぎ  撮影:2022.12.18
竹林

 園路を進むと、竹林が群生しています。木々とはまた違う爽やかな印象です。この竹林が、庭園の景観に良いアクセントを与えています。

所沢航空記念公園 日本庭園 竹林  撮影:2023.02.12

所沢航空記念公園 日本庭園 竹林  撮影:2022.12.18

 築山から東側には滝が築かれています。立派な石組による滝です。訪問当日は水量が少なく、ほとんど枯滝のような状態でしたが、水量が多いときも見てみたいですね。

所沢航空記念公園 日本庭園 滝  撮影:2023.02.12
彩翔亭

 彩翔亭は、日本庭園に先立つ平成10年(1998)に竣工した茶室です。竣工当時は大寄席茶会(400~600人/日)を行うことが可能な、首都圏唯一の茶室であったそうです*3。中には喫茶室もあり、抹茶や和菓子を楽しむことができます。

所沢航空記念公園 彩翔亭  撮影:2023.02.12

 所沢航空記念公園は、零戦YS-11、幻に終わった三菱スペースジェット、そして対照的に好調を維持しているのホンダジェットへとつながる日本人の空の夢のはじまりの地と言えます。その一角に造園された日本庭園は、どこか心の落ち着く庭園でした。

*1:小林治人と東京ランドスケープ研究所(1998)「所沢航空記念公園茶室」『建築ジャーナル(別冊)』926号 p29

*2:小林治人と東京ランドスケープ研究所(1998)「所沢航空記念公園茶室」『建築ジャーナル(別冊)』926号 p29

*3:小林治人と東京ランドスケープ研究所(1998)「所沢航空記念公園茶室」『建築ジャーナル(別冊)』926号 p29