庭園情報
- 名称:目白庭園
- 完成:平成2年(1990)
- 作庭:伊藤邦衛
閑静な住宅街に造られた静かな庭園
東京都豊島区の目白庭園。目白駅から徒歩5分程度の場所にあるこの庭園は、平成2年(1990年)に造られた比較的新しい庭園です。小規模ながら、程よくまとまり、整備も行き届いている雰囲気の良い庭園です。
庭園の様子
初めて訪ねた時、その雰囲気の良さが印象的でした。典型的な池泉回遊式庭園で、なかなか豪快な石組も用いている庭園です。
表門(長屋門)
閑静な住宅街を進んでいくと、目白庭園の表門が現れます。長屋門の形式で造られた入口であり、新しい庭園でありながらも伝統的な印象を与えてくれています。
池
目白庭園の中核をなす池。庭園自体はそれほど広くない敷地ですが、奥行きを感じさせるようにうまく造られています。
六角浮き見堂
池の北東端に設けられている六角浮見堂。腰を掛けることができるようになっています。訪問当日は、様々な人が庭園を眺めながらゆっくりと過ごしていました。
十三重塔
上り坂の園路を進むと、十三重塔が見えてきます。まるで山の中にある古寺のような趣のように感じられます。
滝
園路を進むと、築山から池に注ぎ込む滝にたどり着きます。かなり本格的な石組の滝です。この石組から水が勢いよく落ちていき、涼しげな印象を与えてくれます。
洲浜と舟石
池の北西部付近には丸石で表現された洲浜が作られています。洲浜には舟石と思しき石が設けられており、これから出港するかのようです。
中島
池の南西部に中島が築かれています。特に解説は無いのですが、滝見台から眺める中島は、鶴のようにも亀のようにも見える石組が用いられています。この石組をみてもわかる通り、伝統的な神仙蓬萊思想に基づいて作庭されていることが伺えます。
沢飛石
築山から赤鳥庵へ向かう石段は、途中で沢飛石となっています。山道の石段がそのまま自然と沢飛石に変化していくような造りです。
赤鳥庵下からの眺望
赤鳥庵の下は通路となっており、ベンチも設置されていて、ちょっとした休憩場所です。ここから眺めると、対岸が中島、滝、洲浜、十三重塔、六角浮見堂と、この庭園全体を見渡せることができる構造になっています。
小規模ながらも整備の行き届いた、気持ちの良い庭園です。よくよく観察すると、古典的な手法が散りばめられた素敵な庭園で、解説板等が無い分、作庭家の意図を想像してしまいます。このような庭園が近くにある環境に住みたいものだな、なんて考えながら散策を終えました。