まだ知らぬ、日本を訪ねて

趣味の日本庭園や近代建築の紹介ブログです。

長府庭園【訪問編】

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「長府庭園」 撮影:2019.05.04

庭園情報

 令和元年5月のゴールデンウィーク山口県の長府を訪ねました。長府には長府毛利邸の日本庭園もありますが、長府庭園の方が規模の大きい庭園となります。平成5年(1993)に一般公開が開始されたため、また「城下町長府」からも若干離れているため知名度はそれほど高くはありませんが、恐らく起源は江戸時代からの庭園であり、近くに来たら是非訪ねたい庭園です。

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「長府庭園」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園」 撮影:2019.05.04

 長府庭園の中心となる池。池の中には中島が存在しますが、特に鶴・亀といった形が確認できないことから、明治期以降の築庭あるいは改造がなされていると推定されます。規模はそこまで大きくないものの、自然豊かな光景が作られ、非常に気持ちの良い庭園となっています。

亀島

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「長府庭園 亀島」 撮影:2019.05.04

 中島とは別に、池の中に小規模ながら「亀」の形をした島が作られています。かなり小規模であり、目立たないようにしていることから、この部分は江戸時代末期および明治時代以降の自然主義時代に築庭されていると推定されます。

石造物

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「長府庭園 石造物」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園 石造物」 撮影:2019.05.04

 庭園の奥に独特の雰囲気を出している聖域があります。長府庭園の案内板では「石造物」と記載されている所です。石柱と狛犬、羅漢像、そして石仏。石仏と狛犬が一緒に存在することから、神仏習合の時代(江戸時代)に作られたと推定できます。

あずまや

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「長府庭園 あずまや」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園 あずまや」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園 あずまや」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園 あずまや」 撮影:2019.05.04

 現地では特に案内もされていない「あずまや」。「あずまや」というよりは「茶室」の表現が似合う建築です。周囲の緑に対し存在感を際立たせる朱色の壁面。ここでお茶を頂きたくなる光景です。

小川

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「長府庭園 小川」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園 小川」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園 小川」 撮影:2019.05.04

 庭園の奥側には、池に注がれる川の光景が作られています。明治期以降に主流となる「流れ」を意識した作りとなっています。

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「長府庭園 滝」 撮影:2019.05.04

 庭園の最奥には滝が設けられています。高さは2mを超える立派な滝です。築庭時も、作庭家が特に力を入れた場所だと推定できます。

ショウブ池

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「長府庭園 ショウブ池」 撮影:2019.05.04

 滝の手前にショウブ池が設けられています。満開時には美しい光景が広がることが想像できます。

書院

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「長府庭園 書院」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園 書院」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園 書院」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園 書院と橋」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園 書院」 撮影:2019.05.04

  現地の案内板には「書院」と案内されている建築。書院内から庭園を眺められるよう、ガラス戸を多く用いています。訪問当日も書院内で催しを実施していました。

芝生広場

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「長府庭園 芝生広場」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園 芝生広場」 撮影:2019.05.04

 書院の前に広がっているのがこの芝生広場です。敷地の奥にある日本庭園とは変わって、洋風の開放的な空間が広がっています。恐らくは近代以後に整備されたのではないかと推定されます。

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「長府庭園 三の蔵」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園 一の蔵・二の蔵」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園」 撮影:2019.05.04

 園内には蔵も残っています。こちらも特に案内はありませんが、少なくとも中部家邸時代から残されているであろうと思われます。現在は売店や展示コーナー、情報コーナーとして活用されています。一の蔵は池の眺めからも見ることが出来、庭園のアクセントとしても重要な建物になっています。

茶室

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「長府庭園 茶室」 撮影:2019.05.04

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「長府庭園 茶室」 撮影:2019.05.04

 二の蔵の先、小川の側に建っているのが茶室です。こちらの建築は新しいように見えます。お茶会での利用も可能だそう。川のせせらぎを聞きながらお茶を飲めそうです。

 

 長府庭園は下関市が中心となって進めている「近代捕鯨」をテーマにした日本遺産候補の構成文化財になります。令和2年度では残念ながら認定から漏れましたが、今後も注目を浴びて欲しい庭園の一つです。