まだ知らぬ、日本を訪ねて

趣味の日本庭園や近代建築の紹介ブログです。

二条城 二之丸庭園・本丸庭園・清流園【訪問編】

二条城 二之丸庭園  撮影:2020.01.13

庭園情報

二条城に存在する三つの庭園

 京都御苑から徒歩20分足らず、 徳川将軍家が御所防衛と将軍上洛時の宿泊所として建設した二条城があります。そこには、将軍家の威信をかけた二之丸庭園、明治天皇の御叡慮により改造された本丸庭園、そして京都市が当時の総力を挙げて作庭した清流園の三庭園が造園されました。

 訪問当日の様子は下記ページでも掲載していますので、よろしければご参照ください。

zuito.hatenablog.com

二之丸庭園

二条城 二之丸庭園  撮影:2020.01.13

 二条城の二之丸庭園は、国の特別名勝に指定されている庭園です。慶長八年(1603)に東照神君徳川家康公が二条城築城を命じた際に造園されたものと思われます。その後、寛永三年(1626)の後水尾天皇行幸の際に小堀遠州によって改修されました。

舟石と鶴島

二条城 二之丸庭園 舟石と鶴島  撮影:2016.11.03

 写真手前、池に浮かぶ舟石は、そのまま蓬莱島へ向かっていくような描写です。写真では見えづらいですが、右奥には鶴島が築かれています。三角形の屏風のような石が羽石です。

蓬莱島

二条城 二之丸庭園 蓬莱島  撮影:2020.01.13

 蓬莱島は二之丸庭園内で最も大きな中島となります。この蓬萊島、南側の鶴島に対しては亀島に、北側の亀島に対しては鶴島となるように石組が造られている、非常に巧妙な作りです。

亀島

二条城 二之丸庭園 亀島  撮影:2020.01.13

 庭園内にある三つの中島の内の一つ。手前に大きな亀頭石を設け、蓬莱島とは石橋を架けています。桃山時代の頃から蓬莱島に対しても架橋するようになったと言われますが、その代表例とも言える景観です。

滝石組

二条城 二之丸庭園 滝石組  撮影:2020.01.13

 庭園の西北部には滝石組が設けられています。現在の水の流れは明治時代に改修されたようで、作庭当初の流れと異なるようです。

蘇鉄

二条城 二之丸庭園 蘇鉄  撮影:2020.01.13

二条城 二之丸庭園  撮影:2020.01.13

二条城 二之丸庭園  撮影:2016.11.03

 二之丸庭園で特に目立つのが蘇鉄です。二之丸庭園のおける蘇鉄の歴史は、寛永三年(1626)に肥前佐賀領主の鍋島勝茂が蘇鉄一株を献納したことから始まります。一見すると場違いともいえる蘇鉄の存在は、徳川将軍家が南国も支配下に置いていることを誇示するかのようです。

本丸庭園

二条城 本丸庭園  撮影:2016.11.03

二条城 本丸庭園  撮影:2020.01.13

 本丸庭園は明治29年(1896)、明治天皇の御叡慮により、既に整備されていた枯山水庭園から現在の本丸庭園に改造されました。芝生が広がる開放的な洋風庭園の印象です。(令和4年現在、本丸御殿は保存修理工事が実施されています)

清流園

二条城 清流園  撮影:2020.01.13

  清流園は昭和40年(1965)に、京都市によって整備された庭園です。元々は高瀬川の開削で有名な角倉了以の屋敷の一部とその庭園の石を中心に、中根金作氏が設計したもの。当時の京都市が総力を挙げて作庭した、見ごたえのある庭園となっています。

 異なる時代、異なる意図。二之丸庭園の圧倒的な完成度と、本丸庭園の開放的な印象、そして昭和の名園と、レベルの高さを実感できる庭園です。