まだ知らぬ、日本を訪ねて

趣味の日本庭園や近代建築の紹介ブログです。

圓徳院庭園【訪問編】

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「圓徳院庭園 北庭」 撮影:2020.01.12

庭園情報

  • 名称:圓徳院庭園
  • 作庭
    • 【北庭】賢庭、小堀遠州、(修復)北山安夫
    • 【坪庭】北山安夫
    • 【南庭】(指導)森蘊、(監修)北山安夫、(作庭)徳村宗悦
  • 完成
    • 【北庭】慶長十年(1605)
    • 【坪庭・南庭】昭和時代
  • 住所:京都府京都市東山区高台寺下河原町530
  • 保護:国指定名勝「旧円徳院庭園」

冬にこそ行きたい庭園

 2020年1月、まだ世の中が平穏だった寒空の京都。高台寺を参拝した後、近くの圓徳院を訪ねました。圓徳院は高台寺塔頭で、北政所終焉の地としても有名です。庭園は伏見城の化粧御殿の前庭を移したものであり、国の名勝に指定されています。秋の紅葉の名所でもある圓徳院庭園ですが、冬は一切の無駄が削ぎ落とされたことでより石組が強調されていました。石組の圧倒的な存在感。衝撃的です。

 庭園の様子

 圓徳院の庭園は主に南庭・北庭に分かれています。

南庭

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「圓徳院庭園 南庭」 撮影:2020.01.12

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「圓徳院庭園 南庭」 撮影:2020.01.12

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「圓徳院庭園 南庭」 撮影:2020.01.12

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「圓徳院庭園 南庭」 撮影:2020.01.12

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「圓徳院庭園 南庭」 撮影:2020.01.12

 圓徳院を拝観し、最初に案内されるのが南庭です。南庭は昭和時代に庭園研究家の森蘊博士の指導のもと、徳村宗悦氏が作庭したもの。新しい庭園ですが、どこか落ち着く良い庭園です。現地に解説等は特にありませんが、海を表す石庭の波紋、そして三尊石や蓬莱山を表しているかのような石や植栽。なにを表しているか想像しながら見るのも楽しいものです。

坪庭

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「圓徳院庭園 坪庭」 撮影:2020.01.12

 圓徳院の坪庭は作庭家の北山安夫氏によって整備されています。小さな敷地をここまで素敵な空間に変えられるという事実に感嘆としてしまいます。

北庭

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「圓徳院庭園 北庭」 撮影:2020.01.12

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「圓徳院庭園 北庭」 撮影:2020.01.12

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「圓徳院庭園 北庭」 撮影:2020.01.12

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「圓徳院庭園 北庭」 撮影:2020.01.12

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「圓徳院庭園 北庭」 撮影:2020.01.12

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「圓徳院庭園 北庭」 撮影:2020.01.12

 北庭は前述のとおり、伏見城化粧御殿にあった前庭に移したもので、国の名勝に指定されています。賢庭による作庭といわれ、後に小堀遠州の手が加えられたとのこと。現地解説によると庭石が200石以上も用いられています。伏見城時代は池泉回遊式の庭園であったとのことですが、現在の地に移設する際、枯山水庭園に変更しています。

北庭 亀島・鶴島

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「圓徳院庭園 北庭 亀島・鶴島」 撮影:2020.01.12

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「圓徳院庭園 北庭 亀島」 撮影:2020.01.12

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「圓徳院庭園 北庭 鶴島」 撮影:2020.01.12

 北庭には二つの中島があり、左が亀島、右が鶴島と言われています。

北庭 石橋

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「圓徳院庭園 北庭 石橋」 撮影:2020.01.12

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「圓徳院庭園 北庭 石橋」 撮影:2020.01.12

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「圓徳院庭園 北庭 石橋」 撮影:2020.01.12

 二つの中島を結ぶ石橋も迫力のある巨石を用いています。よくみると石の数が左から「一・二・三」となっています。

北庭 三尊石

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「圓徳院庭園 北庭」 撮影:2020.01.12

 三つの石を用いた石橋の奥、紅葉の隣に三尊石が置かれています。紅葉の葉が落ちた冬だからこそ、三尊石がよく見えます。

北庭 滝組

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「圓徳院庭園 北庭 滝組」 撮影:2020.01.12

 現地の案内によると、北東部の石組は枯滝の滝組を表しているとのこと。確かに、あたかも水が流れ落ちているような表現です。

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円徳院庭園 北庭」 撮影:2020.01.12

 しかし、角度を変えてみてみると、築山に巨石が数多く立てられている様子を見ることができ、まるで補陀洛山(あるいは蓬莱山)のようにも見えてきます。実際、ネット上にはこれを蓬莱山または補陀落山と紹介するサイトもあります。様々な解釈があっても良いかもしれません。

 安土桃山時代の豪壮な庭園の代表作でもある北庭。それに調和するように整備された南庭と坪庭。世の中の安寧が求められる今だからこそ、落ち着いた時期に再訪したい庭園です。