まだ知らぬ、日本を訪ねて

趣味の日本庭園や近代建築の紹介ブログです。

二条城 二之丸庭園・本丸庭園・清流園【訪問編】

二条城 二之丸庭園  撮影:2020.01.13

庭園情報

二条城に存在する三つの庭園

 京都御苑から徒歩20分足らず、 徳川将軍家が御所防衛と将軍上洛時の宿泊所として建設した二条城があります。そこには、将軍家の威信をかけた二之丸庭園、明治天皇の御叡慮により改造された本丸庭園、そして京都市が当時の総力を挙げて作庭した清流園の三庭園が造園されました。

 訪問当日の様子は下記ページでも掲載していますので、よろしければご参照ください。

zuito.hatenablog.com

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高台寺庭園【訪問編】

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高台寺庭園」 撮影:2020.01.12

庭園情報

  • 名称:高台寺庭園
  • 完成:延宝~天和年間か(1673~1683)*1
  • 作庭:不明*2
  • 保護:国指定史跡及び名勝

北政所ゆかりの寺院の名勝庭園

 太閤・豊臣秀吉公の正妻である北政所高台院。太閤殿下の死後、豊臣恩顧の武将たちに大きな影響力を持っていることから神君・徳川家康公に厚遇されていました。この高台寺についても家康公は配下の武将たちに伽藍造営の普請を命じています。高台寺の創建は慶長十一年(1606)ですが、重森三玲氏によると、高台寺の庭園はそれより後の延宝~天和年間(1673~1683)の完成ではないかと推定しています*3

*1:重森三玲・重森完途(1973)『日本庭園史大系14 江戸初期の庭(一)』p111-112

*2:重森三玲・重森完途(1973)『日本庭園史大系14 江戸初期の庭(一)』p112

*3:重森三玲・重森完途(1973)『日本庭園史大系14 江戸初期の庭(一)』p111-112

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京都御所 御池庭・御内庭・南庭【訪問編】

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京都御所 御池庭」 撮影:2016.11.03

庭園情報

  • 名称:京都御所 御池庭・御内庭・南庭
  • 作庭:不明
  • 完成
    • 【御池庭】延宝三年(1675)、その後改修されたと推定
    • 【御内庭】寛政二年(1790)、その後改修されたと推定
  • 住所:京都府京都市上京区京都御苑

千年の都の中心にして、近代日本の幕開けの舞台

 畏こくも明治天皇御叡慮により、京都御所はかつての姿のまま保存されてきました*1。残念ながら、第二次世界大戦時の建物疎開により大台所等の多くの建築物が破却されましたが*2、それでもなお、かつての御所の雰囲気をよくとどめています。

 現在の京都御所安政二年(1855)に竣工した、比較的新しい建築です。しかし、この御所は、その後の幕末史の重大局面である「禁門の変」「王政復古の大号令」「小御所会議」「五箇条の御誓文」の舞台となるなど、近代日本の幕開けを象徴する建築となります。そしてその御所には「南庭」「御池庭」「御内庭」といった庭園が設けられ、日本の重大局面を見守っていました。 

*1:森忠文(1977)「明治初期における京都御苑の造成について」『造園雑誌』41巻3号p16

*2:宮内庁京都事務所(2013)『《京都》御所と離宮の栞 其の六』p2

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金地院庭園【訪問編】

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「金地院庭園」 撮影:2020.01.12

庭園情報

黒衣の宰相が造らせた、鶴亀蓬莱庭園の傑作

 江戸時代、徳川初代将軍・徳川家康公の側近の一人として支えた以心崇伝。彼の本拠地となった南禅寺金地院に、国の特別名勝に指定された庭園があります。2020年1月の京都旅行で、無鄰菴の次に訪れた庭園です。

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無鄰菴【訪問編】

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「無鄰菴」 撮影:2020.01.12

庭園情報

近代日本庭園の代表作

 京都市左京区南禅寺界隈。ここに琵琶湖疎水を水源とした近代日本庭園群があります。その中の代表作が「無鄰菴」です。コロナ禍直前の2020年1月の京都旅行で青蓮院門跡の次に訪ねました。

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青蓮院庭園【訪問編】

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「青蓮院庭園 華頂殿からの眺望」 撮影:2020.01.12

庭園情報

  • 名称:青蓮院庭園
  • 作庭
  • 完成
  • 住所:京都府京都市東山区粟田口三条坊町69-1
  • 保護:国指定史跡「青蓮院旧仮御所」

室町時代を起源とする庭園

  2020年1月、圓徳院を参拝した後、青蓮院門跡を訪ねました。青蓮院門跡は比叡山延暦寺の住坊「青蓮坊」が起源とされています。その後、皇族や公家から門主として迎え入れ、門跡寺院として地位を確立しました。天明八年(1788には内裏が焼失した際に後桜町上皇の仮仙洞御所として使用されたため、「青蓮院旧仮御所」として国の史跡にも指定されています。明治26年(1893)に火災で多くの建築が焼失しましたが、相阿弥と小堀遠州が携わったと伝えられる庭園が今に残されています。

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圓徳院庭園【訪問編】

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「圓徳院庭園 北庭」 撮影:2020.01.12

庭園情報

  • 名称:圓徳院庭園
  • 作庭
    • 【北庭】賢庭、小堀遠州、(修復)北山安夫
    • 【坪庭】北山安夫
    • 【南庭】(指導)森蘊、(監修)北山安夫、(作庭)徳村宗悦
  • 完成
    • 【北庭】慶長十年(1605)
    • 【坪庭・南庭】昭和時代
  • 住所:京都府京都市東山区高台寺下河原町530
  • 保護:国指定名勝「旧円徳院庭園」

冬にこそ行きたい庭園

 2020年1月、まだ世の中が平穏だった寒空の京都。高台寺を参拝した後、近くの圓徳院を訪ねました。圓徳院は高台寺塔頭で、北政所終焉の地としても有名です。庭園は伏見城の化粧御殿の前庭を移したものであり、国の名勝に指定されています。秋の紅葉の名所でもある圓徳院庭園ですが、冬は一切の無駄が削ぎ落とされたことでより石組が強調されていました。石組の圧倒的な存在感。衝撃的です。

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