まだ知らぬ、日本を訪ねて

趣味の日本庭園や近代建築の紹介ブログです。

令和5年2月 神戸旅行 〜2日目〜

BE KOBE  撮影:2023.02.24

 神戸旅行、2日目はあいにくの雨。午前は室内で過ごせる神戸海洋博物館、午後は雨脚が弱まったので近隣の旧居留地メリケンパークを散策しました。

神戸海洋博物館

 神戸海洋博物館は、昭和62年(1987)に神戸開港120年を記念して開館した海事博物館です*1。その特徴的な外観は、神戸ポートタワー、神戸メリケンパークオリエンタルホテルと並ぶ、神戸港の象徴的な景観を構成しています。館内には大輪田泊福原京から現在の神戸港に至る歴史や神戸港での仕事の内容、様々な船舶の模型が展示されています。

神戸海洋博物館  撮影:2023.02.24
君も博士になれる展

 訪問当日は、ちょうど『君も博士になれる展』がやっていました(注:令和5年3月12日まで開催されていたようです)。平日ということもあって、すんなり入れたのですが、旅行中の時期は、土日祝は長蛇の列が作られていたほどの盛況ぶりでした。人体を模した「体内探検」には、私の息子を含め、沢山の子供達が楽しんで遊んでました。

君も博士になれる展  撮影:2023.02.24
カワサキワールド

 カワサキワールドは、平成18年(2006)に開館した川崎重工業株式会社を中核とする川崎重工グループの企業博物館です*2。館内には、川崎重工グループが手掛けたバイクや0系新幹線車両、ヘリコプターなどが展示されていました。

カワサキワールド  撮影:2023.02.24

 0系新幹線電車は、客室や運転台に入ることができます。新幹線の運転台に入ることができるとあって、息子も楽しそうです。

カワサキワールド 0系新幹線電車 運転台と客室  撮影:2023.02.24

 他にも展示されているヘリコプターの内部も入れたり、バイクにまたがったり、乗り物好きには楽しい展示となっています。

居留地

 神戸海洋博物館を出て、昼食を食べた後、雨脚が少し弱まったので旧居留地を散策しました。

居留地 海岸通り  撮影:2023.02.24

 旧居留地は、慶応三年十二月七日(1868年1月1日)に神戸港が開港した際に建設された居留地(外国人が住み、働いていた地区)だった場所です。日米修好通商条約を皮切りに締結された安政五カ国条約に基づき設置された居留地は外国人と日本人との紛争防止に役立った一方で、同条約では関税自主権の欠如や領事裁判権を認める不平等条約でもありました。明治政府の長年の交渉の結果、不平等条約は改正されることになり、明治27年(1894)に神戸の居留地は日本政府に返還され、その後の旧居留地は神戸の経済の中心地として繁栄。1960年代頃から東京への本社機能の流出傾向が強まり、経済的地位が低下しますが、1980年頃から旧居留地に残された近代建築と歴史的景観が見直され、現在では現役のビジネス街と同時に神戸らしい洗練された街に生まれ変わりました。*3*4。私が近代建築好きになるきっかけとなった街でもあります。

神戸メリケンビル

 神戸メリケンビルは、大正7年(1918)に日本郵船神戸支店として建設されました。設計は曽禰達蔵氏・中條精一郎氏によるもの。正確には旧居留地とは道を挟んで隣接する旧雑居地の近代建築です。訪問当日はテナントが変わる関係なのか内装工事中でした。

神戸メリケンビル  撮影:2023.02.24
海岸ビル

 海岸ビルは、大正7年(1918)に三井物産神戸支店として建設されました。設計は河合浩蔵氏によるもの。平成7年(1995)に発生した阪神・淡路大震災により全壊認定を受けましたが、その後に再建された高層ビルの低層部に外壁が保存されました。海岸ビルの外壁保存はそこまで違和感を覚えない方法であったため、震災後においても旧居留地の海岸通りの景観を保つことができています。

海岸ビル  撮影:2023.02.24

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商船三井ビルディング

 商船三井ビルディングは、大正11年(1922)に大阪商船神戸支店として建設されました。設計は渡辺節氏によるもの。旧居留地の海岸通りの顔とも言うべき建築で、その優美さは訪問するたびに感銘を受けてしまいます。

商船三井ビルディング  撮影:2023.02.24

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神港ビルヂング

 神港ビルヂングは、昭和14年(1939)に川崎汽船株式会社本社ビルとして建設されました。登記上では、現在でも川崎汽船の本店となっています。設計は木下益次郎氏によるもの。昭和期のオフィスビルということもあり、外装は非常にシンプルな印象ですが、屋上の塔屋がこの建築の個性を表しています。

神港ビルヂング  撮影:2023.02.24

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チャータードビル

 チャータードビルは、昭和12年(1937)に英国・チャータード銀行の神戸支店として建設されました。設計は、J.H.モーガン氏によるもので、彼の最晩年の作品。銀行建築らしく、イオニア式柱で堅牢な印象を与えてくれる建築です。

チャータードビル  撮影:2023.02.24

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神戸居留地十五番館

 旧神戸居留地十五番館は、明治13年(1880)頃にアメリカ合衆国領事館として建設されました。近代建築が比較的多く残る旧居留地地区でも、旧居留地時代の建築はこの十五番館のみです。平成7年(1995)の阪神・淡路大震災で倒壊しましたが、関係者の熱意により可能な限り元の部材を用いて再建したことで、国の重要文化財に指定されたまま保存されています。

神戸居留地十五番館  撮影:2023.02.24

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居留地38番館

 旧居留地38番館は、米国・ナショナルシティ銀行の神戸支店として建設されました。設計は、W.M.ヴォーリズ氏によるもの。隣接する大丸百貨店神戸店が旧居留地38番館を活用したのが、旧居留地が商業地域として息を吹き返すきっかけとなりました。旧居留地を象徴する建築の一つです。

居留地38番館  撮影:2023.02.24

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メリケンパーク

メリケンパーク  撮影:2023.02.24

 メリケンパークは、昭和62年(1987)にメリケン波止場と中突堤の間を埋め立てて造成された公園です。神戸ポートタワーや神戸海洋博物館、メリケンパークオリエンタルホテルなどの象徴的な建築が所在する、まさに神戸港の顔と言える場所となります。

神戸税関 万国波止場碑

 メリケン波止場の基部となる海岸通り沿いに、神戸税関が建てた万国波止場碑があります。詳細な説明板等は無いのですが、かつては神戸港の利用者で多くの人で賑わっていたことを思わせるようです。

神戸税関 万国波止場碑  撮影:2023.02.24
オブジェ「フィッシュダンス」

 オブジェ「フィッシュダンス」は昭和62年(1987)のメリケンパーク開園時に建設された商業施設「フィッシュダンス」のオブジェとして制作されました。フランク・ゲーリー氏による設計、安藤忠雄氏が監修した作品です。まさに、巨大な鯉が飛び跳ねているさまが描かれています。想像以上に大きいです。

オブジェ「フィッシュダンス」  撮影:2023.02.24
神戸港震災メモリアルパーク

 神戸港震災メモリアルパークは、平成7年(1995)に発生した阪神・淡路大震災で壊滅的被害を受けた神戸港の様子を保存した場所です。ほんの一区画とはいえ、生々しい様子には心にくるものがあります。

神戸港震災メモリアルパーク  撮影:2023.02.24

 私の祖父母も当時兵庫県阪神地域に住んでいました。震災後に祖父母を訪ねた際は、橋が落ち、トンネルが崩れていたことを鮮明に覚えています。その後は月日が経つにつれ、すっかりきれいになりましたが、当時の記憶が少しよみがえってきました。

BE KOBE

 「BE KOBE」は、阪神・淡路大震災から20年をきっかけに生まれた、「神戸の魅力は人である」という思いを集約したシビックプライド・メッセージです。メリケンパークにあるモニュメントは、平成29年(2017)に設置されました。現在では人気の撮影スポットとなっています。残念ながら訪問当日は丁度改修工事中で、モニュメントが柵に囲まれていましたが、それでも良い感じで絵になっています。

BE KOBE  撮影:2023.02.24

 神戸旅行の2日目はあいにくの雨でしたが、海洋博物館、旧居留地、そしてメリケンパークを散策することができ、なかなか充実した1日を過ごすことができました。

*1:神戸海洋博物館『神戸海洋博物館について』(20232.03.20 参照)https://kobe-maritime-museum.com/about.html

*2:神戸海洋博物館『神戸海洋博物館について』(20232.03.20 参照)https://kobe-maritime-museum.com/about.html

*3:居留地連絡協議会『旧居留地の歴史』(20232.03.20 参照)https://www.kobe-kyoryuchi.com/history/

*4:国立国会図書館国際子ども図書館日米修好通商条約』(20232.03.20 参照)https://www.kodomo.go.jp/yareki/archive/archive_02.html