令和5年6月、東京ビッグサイトで開催された東京国際消防防災展2023を訪問しました。
東京国際消防防災展2023
東京国際消防防災展とは、災害時の防災知識や防災対策を周知することを目的としたイベントで、5年に一度開催されます。一般企業による防災商品の展示が多いですが、一般向けの展示も多くありました。
消火・救助演技
屋外では、東京消防庁の消防部隊や、米海軍所属の消防隊の消火・救助演技が行われていました。なかなか、迫力のある消火活動が繰り広げられていました。
クラシック消防車
防災展では、他にもクラシカルな消防車の展示も行われていました。
馬引き蒸気ポンプ
馬引き蒸気ポンプは、消防ポンプ自動車が普及する前、馬車により消防用の蒸気ポンプが引かれていた時代のポンプ車です。展示されていたものは、万延元年（1860）に英国・メリーウェザー社で製造されたもので、国内で保存されている消防用ポンプの中では最古のものとなります。当時の幕末の日本では消火用に使用できるポンプの技術は無く、消防の面でも当時の技術力の差を痛感させられますね。
T型フォード消防ポンプ自動車
T型フォード消防ポンプ自動車は、アメリカ合衆国のフォード社が開発・製造した消防ポンプ自動車で、T型フォードをベースとしています。この車両は大正9年（1920）に製造されたものです。大正12年（1923）の関東大震災でも出動したとされる、貴重な消防車です。
ニッサン180型消防ポンプ自動車
ニッサン180形消防ポンプ自動車は、日産自動車がニッサン180形トラックをベースに製造し、昭和16年（1941）蒲田消防署に配置された消防ポンプ自動車です。国産初の本格的な消防車とされ、第二次世界大戦での空襲火災でも出動しています。高輪消防署二本榎出張所で静態保存されていましたが、この防災展に合わせて日産自動車が動態復元に成功しました。関係者の皆様の熱意に頭が下がります。
オート三輪消防ポンプ自動車
オート三輪消防ポンプ自動車は、三菱重工業が製造したオート三輪をベースに、日本機械工業が艤装した消防ポンプ自動車です。前述の通り、すでに国内には四輪の消防ポンプ自動車も導入されていましたが、四輪と比べて廉価であることから、好評を博したようです。これでも後部立席を含めて乗車定員5名ということに驚き。道路事情が悪かった当時の国内事情に合致した消防車といえます。
三菱ウィリス CJ-3B 消防ポンプ車
三菱ウィリス CJ-3B 消防ポンプ車は、アメリカ合衆国のウィリス社からライセンス製造・販売が許された新三菱重工業（後の三菱自動車工業）のジープをベースにして、昭和35年（1960）に日本機械工業が艤装した消防ポンプ車です。三菱電機名古屋事業所の自衛消防隊で活躍した後、『じぷた』として見た目を再現しています。
American LaFrance 900 Series Pumper
アメリカン・ラフランス・900シリーズは、昭和38年（1963）にアメリカン・ラフランス社で製造され、アメリカ合衆国ペンシルベニア州のストックデールという街で活躍しました。なにか、古き良きアメリカンな雰囲気を出している消防車ですね。
在日米軍の消防車
今回の防災展で初めて知ったのですが、在日米軍基地には独自の消防隊が存在しています。日本にいながらアメリカンな雰囲気になるのは不思議なものです。有事の際は協定に基づき、在日米軍の消防隊も協力して消火活動等の対応を行うとのことでした。
関東大震災から100年という、節目の年に開かれた東京国際消防防災展2023。100年間に技術は大きく進歩していることを実感しながら、私たちも防災意識を高めなければならないと感じました。
