奈良旅行の最終日は、元興寺の参拝とならまちを散策しました。当日はあいにくの雨模様でしたが、元興寺、ならまちとも初めての訪問で楽しめました。
元興寺
元興寺は、崇峻天皇元年(588)に蘇我氏によって造営が着手された法興寺(飛鳥寺)を起源に持つ寺院で、平城京遷都とともに奈良に移転しました。一時は南都七大寺の一つに挙げられる等、隆盛を誇りましたが、徐々に衰退。現在までに残る境内の建築や仏像は国宝や重要文化財に指定され、また世界遺産「古都奈良の文化財」の構成資産の一つでもあります。お堂の回りには萩が黄色く色づいており、秋を感じさせました。
極楽堂
極楽堂は、現在の元興寺の本堂にあたり、奈良時代に建立された僧坊を寛元二年(1244)に現在見られる外観に改築されました。現在は国宝に指定されています*1*2。
禅室
禅室は、奈良時代に建立され、鎌倉時代に改築された僧坊です。主要な構造部材や礎石は奈良時代のものが引き続き使われているそう。奈良時代の元興寺の貴重な遺構であるとともに、奈良時代~鎌倉時代の僧坊の遺構を今に伝える建築として、極楽堂と同様、こちらも国宝に指定されています*3*4。
元興寺の瓦
元興寺の極楽堂および禅室の屋根には、日本で最初の瓦が現在でも使用されています*5。場所は極楽堂の西南隅、禅室の南東隅で、他の場所の瓦と趣が全く異なることが分ります*6。1400年以上も前の瓦がそこにあると思うと、畏敬の念を抱かざるを得ません。
浮図田
浮図田は、昭和63年(1988)に整備された石塔・石仏群です。年代としては鎌倉時代末期から江戸時代中期のものが多いようで、元興寺や関係が深かった興福寺大乗院の関係者、近隣の人々が浄土往生を願って造立した供養仏塔とされています*7。近年の景観とはいえ、700年の人々の願いの積み重ねが、神秘的な光景を感じさせます。
ならまち
ならまちは、奈良の旧市街の内、元興寺旧境内地が市街地化したエリアです*8。現在でも町家建築が数多く残る、雰囲気の良い町並みを散策できます。当日は雨模様に加え、帰りの特急の都合もあったため、駆け足気味にめぐりましたが、次回はもっとゆったりと街歩きがしたいなと感じました。
こうして、11月の紅葉の見ごろを迎えていた奈良の旅を終えました。久しぶりの奈良、特に紅葉の時期での訪問は初めてでしたので、新たな発見が多くありました。今回の旅では回り切れなかったところもありましたので、また再訪したいですね。
*1:元興寺『各建物の特徴と説明』https://gangoji-tera.or.jp/watch/feature.html(2022.12.05 閲覧)
*2:元興寺『現地解説板 国宝 極楽坊本堂』(2022.11.23 閲覧)
*3:元興寺『各建物の特徴と説明』https://gangoji-tera.or.jp/watch/feature.html(2022.12.05 閲覧)
*4:元興寺『現地解説板 国宝 極楽坊禅室』(2022.11.23 閲覧)
*6:元興寺『各建物の特徴と説明』https://gangoji-tera.or.jp/watch/feature.html(2022.12.05 閲覧)
*7:元興寺『現地解説板 浮図田』(2022.11.23 閲覧)
*8:元興寺『元興寺とならまち』https://gangoji-tera.or.jp/about/naramachi.html(2022.12.05 閲覧)