まるで白い宮殿のよう
撮影日:2013.05.03
仏像から水墨画、日本刀に甲冑、果ては踏絵まで。日本の様々な工芸品、美術品を収集、保管、展示している東京国立博物館。正門から入場すると、左にまるで白い宮殿のような建築があります。それもそのはず、「迎賓館 赤坂離宮」などを手掛けた片山東熊博士の設計による建築、「東京国立博物館 表慶館」なのです。
「慶びを表す」
撮影日:2013.05.03
1900(明治33)年5月10日、皇太子嘉仁親王殿下(後の大正天皇)がご成婚されました。東京では、これをお祝いするため美術館を建設し皇室に献納することになりました。この計画に、東京市民を中心に海外居留者を含め2万人以上が賛同、40万円以上の寄付金が集まりました。美術館の建設位置は上野公園内を想定、後に東京帝室博物館内(現:東京国立博物館)となり1901(明治34)年から工事を開始します。当初の竣工期限は1906(明治39)年としていましたが、便殿の設置や意匠などの計画変更、軟弱地盤に対する念入りな基礎工事、東宮御所(現:迎賓館 赤坂離宮)との並行作業となるなど工期が延び、1908(明治41)年に竣工、翌年開館を迎えました。竣工後、この美術館は「表慶館」と名づけられます。文字通り、多くの人々が慶びを表し、それが美術館として結実したのです。
開館後は日本で初めての本格的な美術館として、美術品などを展示していきます。1923(大正12)年の関東大震災では東京帝室博物館は甚大な被害を蒙りますが、表慶館自体は震災による大きな損傷を受けませんでした。耐震には念を入れた基礎工事が功を奏したといえます。震災後は、本館復興まで平常陳列を担うことになります。その後、1978(昭和53)年に重要文化財に指定されました。